本記事では、メタバース市場に参入している企業の活用事例を紹介します。不動産から航空会社まで幅広い業界の企業のビジネスモデルを紹介し、メタバースに参入しようか検討している企業・個人の方がどのようにメタバースを活用すれば良いかを知ることができます。メタバースを活用するメリット・デメリットも解説しているので、そもそも自社がメタバース市場に参入するべきかどうかも判断できます。メタバースの活用事例を紹介以下の企業・自治体のメタバース活用事例を紹介します。KDDI大阪府泉佐野市ANA三越伊勢丹大和ハウス工業HIKKYCyberAgentKDDI:バーチャル渋谷画像出典: au metaverse今年で3周年を迎える「バーチャル渋谷」は、KDDI、渋谷未来デザイン、渋谷区観光協会を中心に組成する「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」が2020年5月に立ち上げた、日本初の自治体公認の都市連動型メタバースです。バーチャル渋谷では、渋谷スクランブル交差点エリア、センター街エリアなど現実の渋谷から収集した写真データなどをメタバース化しています。さらにバーチャルとリアル空間が連動し、リアルとバーチャル空間の参加者がお互いに見え、空間を共有しながら会話が可能です。大阪府泉佐野市:ふるさと納税のPR画像出典: PR TIMES大阪の泉佐野市は株式会社HIKKYが運営する、メタバース上で行う世界最大のVRイベント『バーチャルマーケット2022 Winter』に過去2回、ブースの出店をしました。バーチャルマーケットでは「肉の泉佐野」を盛大にアピールするブースを展開し、泉佐野市へのふるさと納税をアピールしました。またメタバースのマーケット上では、ブース内のデジタルカタログに触れると、自分のPC画面上に泉佐野市が運営するふるさと納税サイト「さのちょく」が表示され、その場で寄付が可能です。ANA:バーチャルトラベル画像出典: ANA NEOANA NEO社は旅に特化したバーチャルトラベルプラットフォーム「ANA GranWhale」を開発中です。ANA GranWhaleでは、ANAが現実世界で行っているリアルな旅行サービスとバーチャルを行き来できることに加え、ショッピングやバーチャル上での医療・教育・行政などのサービスを体験できます。また2022年には北海道と提携したメタバース事業推進を発表しており、これによって北海道の観光振興に寄与したり、道内各地域の活性化につながったりすることが期待されます。参考: ANA NEO、北海道と連携したメタバース事業推進を発表 観光振興の推進や道内各地域の活性化に寄与三越伊勢丹:バーチャルショッピング画像出典:MITUKOSI ISETAN三越伊勢丹は、スマートフォン向け仮想都市空間サービス「REV WORLDS」仮想伊勢丹新宿店を運営しています。仮想伊勢丹新宿店には、デパ地下やファッション、ギフトなどさまざまなショップが出店しています。また、仮想店舗内に展開の商品は実際に販売されている商品が並び、そのままオンラインストアにて購入可能です。利用者はREV WORLDS内で自分のアバターの着せ替えを楽しみ、チャット機能で友人やREV WORLDS上で会ったユーザーと会話できます。大和ハウス工業:メタバース住宅見学画像出典:大和ハウス建設会社で有名な大和ハウスですが、実は自社のモデルハウスをメタバース上に公開するメタバース住宅展示場サービスも展開しています。大和ハウスのメタバース住宅展示場は、スマートフォンをはじめ、タブレットやパソコンから簡単に見学できます。また、利用者と担当者がアバターとなり、仮想空間上の住宅展示場内を担当者が案内します。このサービスによって、顧客は家の内装や雰囲気などをモデルルームに足を運ぶことなく体験できます。HIKKY:メタバース音楽イベント画像出典: HIKKYHIKKY社は世界中のさまざまな都市をメタバース化しており、さらには5年以内に100都市をメタバース化するプロジェクト「パラリアルワールドプロジェクト」を発表しました。世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」も主催しており、2021年2月には「バーチャルリアリティマーケットイベントにおけるブースの最多数」としてギネス世界記録に認定されました。バーチャルマーケットの来場者は100万人を突破したこともあり、HIKKY社のバーチャルマーケットはディズニー、セブン&アイホールディングス、ソフトバンク、伊勢丹など、メタバース関連の企業だけではない、幅広い企業が参加する世界最大規模のオンラインイベントになっています。CyberAgent:メタバースファッション画像出典: Cyber Agent株式会社サイバーエージェントは、メタバース空間におけるファッションの研究・事業開発を目的にデジタルファッションに特化した専門組織「Meta Fashion Factory(メタファッションファクトリー)」を2022年5月に設立しました。Meta Fashion Factoryでは芸能人のデジタルファッション商品の包括的なプロデュースおよび、ファッションデザイナー・クリエイターとの協業事業を推進しています。メタバースの成功例メタバースで成功している代表的な企業は以下の3社です。FortniteSANDBOXDecentralandFortnite画像出典: FortniteEpic Gamesによって運営されている「Fortnite」は、世界で最も人気なメタバースゲームです。Fortniteはオンライン対戦ゲームでプレイヤーは仮想世界を探索し、自分自身のキャラクターを作成したり、アイテムを収集したりします。Fortniteのメタバースにはゲームだけではなく、さまざまなイベントが開催されます。これらのイベントには、有名アーティストのライブや映画鑑賞会などが含まれます。また最近Fortniteがオープンソース化したので、各クリエイターは自分の好きなメタバースのワールドをFortnite上にアップロードし、そこで発生した収益の一部を得られるのです。THE SANDBOX画像出典: THE SANDBOXThe SandBoxはマインクラフトのようなピクセルベースの世界観のメタバースです。ユーザーは自身のアバターを作成し、LANDというThe SandBox内の土地を購入・レンタルします。LANDを購入・レンタルしたユーザーは、その土地で自分の好きなイベントを開いたり、その土地を売買したりなど、現実世界の土地のような使い方ができるのです。すでにGUCCIやadidas、avexなど海外・国内の有名企業がLANDを保有しています。Decentraland画像出典: DecentralandDesentralandは、Decentraland FoundationというDAO(分散型自立組織)によって運営されている世界でも珍しいメタバースプラットホームです。DAOで運営されているため、中央集権的な仕組みによる歪みがなくユーザーファーストのプラットフォームとなっています。DesentralandのサービスはThe SandBoxのメタバースの世界観と似ており、ユーザーはDesentraland内のLANDという土地を購入し、ユーザーはその中で自由にイベントを開催できます。また、DesentralandとThe SandBoxの違う点としてDesentralandはポリゴンチックな世界観なのに対して、The SandBoxの世界観はピクセルチックな点が挙げられます。メタバースの失敗例メタバースの活用に失敗している企業は以下の2社です。MetaWalmartMeta画像出典: Metaメタバースがバズワードとなるきっかけを作ったMetaですが、実は現在メタバース事業は不調です。Metaは、2021年第4四半期にFacebookからMetaに社名を変更して以来、メタバース事業で200億ドル以上の損失を計上しています。これにより、Metaの時価総額が2021年後半に減少し始めて以来、Metaは6000億ドル以上の価値を失いました。Metaが現在メタバース事業に失敗している原因としては、他のメタバースプラットフォームとの互換性の問題や同社のプライバシーなどの問題が挙げられます。Walmart画像出典: Walmart世界最大の売り上げを誇るスーパーマケットのWalmartですが、世界的ゲームである、ロブロックスを利用したゲームプラットフォーム「ウォルマーツ・ユニバース・オブ・プレイ(Walmart’s Universe of Play)を2022年10月にローンチしました。しかし、わずか6ヶ月後の2023年4月にはウォルマーツ・ユニバース・オブ・プレイのサービスを終了しました。メタバースにビジネスチャンスはあるの?メタバース市場でのビジネスチャンスは、市場規模の拡大の予想や若年層の利用者増加などの要因から、まだまだあると言えます。メタバースにビジネスチャンスはあるのか?成功させるポイントも解説メタバースの導入費用は高い?メタバースの導入費用は規模や活用方法によって異なりますが、数万円からと比較的安価でも導入できます。メタバースの導入費用についても以下の記事で詳しく解説しています。メタバースに参入する際の費用を紹介【シナリオごとに解説】メタバースを活用するメリットメタバースを活用するメリットは以下の2つです。コスト削減につながる可能性がある新たな市場へリーチできるコスト削減につながる可能性があるメタバースはデジタル上の仮想空間なので、現実世界の実店舗のように実体がありません。よって実店舗を構える際に必要な家賃やガス代、水道代などの固定費がかかりません。またイベントを開催する際にも、メタバースなら現実世界のイベントのように大きな費用をかけずに気軽に開催できます。新たな市場へリーチできるメタバースを活用することで新たな市場へリーチできます。Mckinsey&Companyは将来的にメタバース市場は650兆円規模になると予想しており、総務省の「令和4年通信情報白書」によると、メタバースの市場規模は2021年は4兆2,640億円でしたが、2030年には78兆8,705億円まで拡大すると予想しています。以上のように、メタバース市場へのリーチは自社にとって大きな利益に繋がる可能性があるでしょう。メタバースを活用するデメリットメタバースを活用するデメリットは以下の2つです。トークンの設計が難しいユーザーの理解が進んでいないトークンの設計が難しいメタバース上でトークンを発行する場合に限りますが、トークンの設計が難しい場合があります。トークンの設計で失敗しないためには、メタバースに関連するWeb3などの幅広い専門的な知識が必要になります。しかし、現在アドバイザーへの相談費用は高額であるのが現状です。woorth社では24時間無料でトークン設計を含むWeb3に関する相談を受け付けております。どんな小さな悩みに対しても専門家が対応します。Web3無料相談窓口はこちらユーザーの理解が進んでいないメタバースは比較的最近始まった概念であるため、まだメタバースを認知している人が少ないのが現状です。さらに、VRゴーグルなどの機材が必要なメタバースはなおさら利用しにくいと考えられます。現在、メタバースの利用者は主に若者が中心です。トランスコモンス社の調査結果によると、50代以上はメタバースの利用経験者が数%なのに対し、10〜20代の男性では約半数が利用したことがあると回答しました。現時点では全年齢層でメタバースに対してユーザーの理解が進んでいないため、リーチできる層は限られています。メタバースの活用事例についてよくある質問メタバースの活用事例についてよくある質問をまとめました。メタバースの最新事例はある?国内で有名なメタバースの活用事例は?海外で有名なメタバースの活用事例は?メタバースを活用する際におすすめのプラットフォームは?メタバースの最新事例はある?メタバースの最新事例として、ARデバイスはAppleが2023年6月のイベントで、Apple初のARデバイス「Apple Vision Pro」を発表しました。Apple Vision Proはスタンドアロンで利用でき、コントローラーや追加デバイス不要で、目や手、声で操作できるARデバイスです。価格は3,499ドル(日本円で約50万円)になっており、米国では来年初めに発売し、その後に各国で発売する予定です。国内で有名なメタバースの活用事例は?国内で有名なメタバースとしてclusterが挙げられます。2017年にリリースされたclusterは、現在総ダウンロード数100万回以上、累計総動員数は2000万人以上など、国内のメタバースプラットフォームでは最大級のサービスです。これまではポケモンやソニーとコラボ、バーチャル渋谷などの大規模なイベントが開催されてきました。画像出典: cluster海外で有名なメタバースの活用事例は?海外で有名なメタバースの活用事例としてFortniteが挙げられます。Fortniteは2023年現在、5億人のユーザーがプレイしており、また7000万人の月間アクティブユーザーが存在します。Fortniteではゲームをプレイするだけではなく、アメリカの有名アーティストであるトラヴィス・スコットや米津玄師などの世界中の有名アーティストのライブを見たり、友達と映画鑑賞したりできます。画像出典: https://rockinon.com/news/detail/206732メタバースを活用する際におすすめのプラットフォームは?メタバースを活用する際におすすめのプラットフォームとしては以下の3つが挙げられます。FortniteclusterVRchatFortniteは世界で最も有名なメタバースプラットフォームでユーザー数も多く、様々な遊び方ができます。clusterは2023年1月時点で累計動員数2000万人を突破している国内で最大級のメタバースプラットフォームです。VRchatは2017年にリリースされた無料で遊べるメタバースプラットフォームです。ユーザーは自身のアバターの姿でVRchatにログインし、プラットフォーム内のユーザと多人数でコミュニケーションを取れます。画像出典: VRchatメタバースの活用事例-まとめメタバースを利用した企業は、近年増え続けています。企業の参入が増えているということは、この先メタバース市場が成長すると見込んでいるとも言えます。今後も多くの企業がメタバース市場に参入すると予想されるため、失敗しないためにもターゲットやニーズを明確化し、キャッシュポイントの設計をするなど持続的なビジネスモデルを設計しなければなりません。メタバースを上手く活用し、他のサービスと上手く差別化できれば、大きなチャンスになります。