本記事ではメタバース×自治体について解説します。個人・企業ともにゲームや教育など、さまざまな活用がされているメタバースですが、実は最近日本の自治体もメタバースの活用を始めているのです。自治体のメタバース活用事例やメタバース×自治体の課題なども解説しているので、本記事を読めばメタバース×自治体の現状や課題点を理解できます。メタバース×自治体とはメタバース×自治体とは、自治体がメタバースを利用して地方創生など施策することです。メタバースといえばゲームのイメージがありますが、実は地方創生のきっかけにもなっているのです。人口減少・過疎化などさまざまな問題を抱える地方では、世界のどこからでもアクセスできるメタバース空間を使って、自分の地域の魅力をアピールできるのです。画像出典: PR TIMES内閣府は2022年8月16日、「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」に「メタバース分科会」を新設しました。メタバース分科会では、メタバースを活用し地方創生に関連する課題に対するベストプラクティスを模索します。このように政府としてもメタバース×自治体が地方創生に寄与するのを期待しているのは間違いありません。メタバース×自治体が注目されている理由メタバース×自治体が注目されている理由としては主に以下の3つです。メタバース上で観光地をアピールできるメタバース上で地方創生が行える文化財をデジタル資産として残せるメタバース上で観光地をアピールできる地方それぞれの観光地をメタバース上に再現することで、自分の地域の観光地を多くの人にアピールできます。メタバースはネットさえ繋がっていれば世界中どこでもアクセスできるため、今まで自分の地域を知ってもらうことが難しかった人に対しても地域の魅力を伝えられるのです。メタバース上で地方創生が行える地方自治体がメタバースを活用することで、業務の効率化やサービスをオンラインで受けられるなど地方創生を行えます。メタバースによって新しいサービスを提供することは、雇用の創出に繋がります。これらのことは地方の人口流出を防げ、観光客を増やせる可能性にも繋がるでしょう。文化財をデジタル資産として残せるメタバースは、地方において継承者や管理者が不足している文化財のアーカイブ機能としても期待されています。建築物やその土地の風景をデジタル上に残すことで何百年先にもその地域の魅力を残せるのです。地域の文化財に関わるNFTなどを発行することで新たな商品も作成でき、利益を上げられる可能性があります。自治体のメタバース活用事例11選自治体のメタバース活用事例を以下11選紹介します。静岡県焼津市:バーチャルマーケットで解体ショー新潟県長岡市:メタバース上でNFTを販売奈良県奈良市:メタバース上で美術館をオープン佐賀県嬉野市:デジタルモール嬉野を開設山口県萩市:メタバース上でふるさと納税をPR鳥取県:メタバース課を設立広島県三原市:メタカープを活用して限定サービスを提供長崎県西海市:メタバースを学べる取り組みを開始長崎県南島原市:メタバーズ上で芸術と文化の複合施設を開設千葉県木更津市:メタバース上での婚活イベントを開催志摩スペイン村:Roblox上に志摩スペイン村を再現静岡県焼津市:バーチャルマーケットで解体ショー画像出典: やいづライフ静岡県焼津市は「バーチャルマーケット2022Summer」に参加し、焼津市のPR動画や全国第10位の人気を誇るふるさと納税返礼品の紹介など、市の魅力を発信するブースを展示しました。焼津市のふるさと納税返礼品として人気の高い「ネギトロ」や「カツオのたたき」、「生しらす」など自慢の地場産品6点を3Dモデルで展示しました。参加者はブース内にあるデジタルポスターから直接ふるさと納税寄附サイトに遷移し、その場で寄附の実施が可能です。新潟県長岡市:メタバース上でNFTを販売画像出典: にいがた経済新聞新潟県長岡市内の山古志地域では、村の魅力を伝える手段として村の電子住民票を付与したNFTアートの発行と、山古志メタバースをつくる取り組みを行っています。NFTの販売を通じて、世界中からColored Carpを購入した方々が、ブロックチェーン上に可視化されることで、グローバルなデジタル関係人口が生まれます。これにより、NFTの販売益をベースに山古志地域に必要なプロジェクトや課題解決を独自財源で押し進められるでしょう。奈良県奈良市:メタバース上で美術館をオープン画像出典: PR TIMES奈良県奈良市にある入江泰吉記念奈良市写真美術館では、日本の写真美術館としては初めての試みで、メタバース上での2022年秋のNFT奈良市写真美術館の開館を目指し、実証実験を開始しました。入江泰吉記念奈良市写真美術館では15万点以上ある入江泰𠮷作品のデジタル化と同時にNFT化を進めることで、デジタル資産上での権利証明を付加しています。メタバース空間で入江泰𠮷作品や奈良の魅力を広め、写真美術館として日本の写真家を世界に届けるため、人気メタバースプラットフォームである「The Sandbox」と「Decentraland」でのNFT奈良市写真美術館のオープンも予定しています。佐賀県嬉野市:デジタルモール嬉野を開設画像出典: 嬉野市嬉野市は観光客数の増加を目的に、嬉野市観光のオンラインプラットフォームとして、仮想の駅前広場である「デジタルモール嬉野」を構築しました。「デジタルモール嬉野」の利用者は自身の分身となるアバターで仮想空間内を自由に動き回り、360度カメラ撮影による臨場感あふれる観光の疑似体験が可能になっています。山口県萩市:メタバース上でふるさと納税をPR画像出典: 山口県萩市山口県萩市は、メタバース環境の利用やイベント等の開催を通じて、萩市における地域の一層の活性化と市民サービスの向上を目指し、SPECTRUM株式会社と連携協定を締結しました。その活動の第一弾として行われたのが、SPECTRUM株式会社が保有する「Decentraland(ディセントラランド)」の区画を使ったふるさと納税返礼品の展示会です。鳥取県:メタバース課を設立画像出典: とりネット鳥取県とXANAは2023年2月にXANAが開発したメタバースを活用した「ご当地アトムNFT(鳥取県)ギャラリー」をオープンし、同時に鳥取県は日本初のメタバース課を新たに開設しました。「メタバース課」では、メタバース空間内での情報発信を通じて「メタバース関係人口」を創出することが主な目的です。AIアバター職員を採⽤しており、24時間365⽇、メタバース空間を通じて世界中から県に興味を持つ⼈は、AIアバター職員とコミュニケーションを取れます。広島県三原市:メタカープを活用して限定サービスを提供画像出典: PR TIMES広島県三原市は広島テレビ放送株式会社と、広島東洋カープのファンクラブ向けサービス「メタカープ」を活用して、様々な市内情報の発信を行っていました。メタカープはプロ野球チームである広島カープファン向けのメタバースとなっており、ファンクラブ会員同士での「チャット」「モーション」「スタンプ」など様々なコミュニケーションが取れます。またメタカープ内のブースでは空間内に屋台ブースを設置し、広島みはらプリンをはじめとする特産品・関連サイトを紹介しました。長崎県西海市:メタバースを学べる取り組みを開始画像出典: PR TIMES長崎県西海市は、Web3.0やメタバースを活かした新しい働き方を実現する人材育成を目的に、メタバースプラットフォーム「The Sandbox」内に、メタバースアカデミーを開講しました。メタバースアカデミーの参加者には参加証として特別なNFTを発行し、西海市のweb3.0コミュニティへの参加や提言の機会などを提供してもらえます。長崎県南島原市:メタバーズ上で芸術と文化の複合施設を開設画像出典: PR TIMES長崎県南島原市はシティプロモーション推進事業の一環として、インターネット上の仮想空間であるメタバースに芸術と文化の複合施設「アートビレッジ・シラキノ」をイメージしたギャラリーを開設しました。市の芸術文化複合施設「アートビレッジ・シラキノ」をイメージしたギャラリーには、南島原から日本中に広まった銅版画をはじめ、写真展やアニメ「巨神と氷華の城」イラストなど幅広い世代の人向けの作品を展示しました。千葉県木更津市:メタバース上での婚活イベントを開催画像出典: CLOUD PERSS ROOMメタバースを使った新たな取り組みとして、木更津市・君津市・富津市・袖ケ浦市のかずさ4市メタバース婚活実行委員会は、メタバースで行う婚活イベントを開催を2023年3月に開催しました。コロナ禍でオンラインでのビジネスやコミュニケーションが日常に浸透してきている中、少子高齢化対策を含め、地域の活性化に繋げる意図があります。志摩スペイン村:Roblox上に志摩スペイン村を再現画像出典: PR TIMES志摩スペイン村はエントランス・エスパーニャ通り・シベレス広場・マヨール広場までを、現地写真や3Dスキャンデータに弊社の建築CG技術を掛け合わせて「Roblox」内に本物そっくりに再現しました。ユーザーはアバターでワールド内を自由に歩き回りながら施設のガイドを読み、建造物にまつわる知識を深め、人気キャラクターに詳しくなれます。またチャット機能を使って、家族や友人と会話しながら探索やゲームを楽しめます。利用者は訪れた感想などをシェアし、リアルタイムでコミュニケーションを取れます。企業のメタバース×自治体の事例企業のメタバース×自治体の事例を以下3つ紹介します。三菱総合研究所:メタバース上のまちおこしを開始パソナ:リモートワークの一環としてメタバースの活用を検討SBINFT:白浜町と提携してNFTアートを提供三菱総合研究所:メタバース上のまちおこしを開始画像出典: 三菱総合研究所三菱総合研究所は2023年2月6日から浦和駅から埼玉県庁までの通りをメタバース空間上に表現しました。メタバース上の埼玉では地域文化・特産物、施設案内、イベント周知など行政サービスに係る情報発信等に関する実証をしています。パソナ:リモートワークの一環としてメタバースの活用を検討画像出典: ひょうご経済+パソナグループはAVITAと協業し「アバター人材雇用創出プロジェクト」を実施しています。「アバター人材雇用創出プロジェクト」では「アバターワーク」サービスを共同で開発し提供するほか、アバターを活用したサービスを推進する人材を育成しています。アバターを活用した地域情報の発信や、仮想空間を使い地域との交流人口の増加を目指した地方創生プロジェクトも推進しているのです。SBINFT:白浜町と提携してNFTアートを提供画像出典: PR TIMES和歌山県白浜町で開催されるストリートアートプロジェクト「POW!WOW!J」に、SBINFTが連動して「バーチャル白浜」を開催しました。今回使用されたメタバースプラットフォームである、クリプトボクセルズ(Cryptovoxels)のプレイヤーは、バーチャル空間に店舗や、アートギャラリーを建設し、作品を出品できます。さらにNFT(非代替制トークン)によるマーケットプレイス「nanakusa(ナナクサ)」公認アーティストの「AURORA」、「ひかげ」によるコラボ作品を作品として出展しました。メタバース×自治体の課題メタバース×自治体の課題は主に以下の2つです。従業員への教育が難しい住民の利用ハードルが高い従業員への教育が難しい自治体がメタバースを利用する際の課題として従業員への教育が難しいことが挙げられます。そもそもメタバースという分野は最近始まった新しい分野のため、勉強方法も少なく従業員への適切な教育をすることが難しい場合があります。住民の利用ハードルが高い高齢化・過疎化が起こっている地方では、住民がメタバースを利用するハードルが都心などの若い人が多い地域に比べ高くなってしまいます。例えば高齢者が多い地域ではメタバースの利用はハードルが高くなるのが予想され、メタバースを活用する自治体はどんな人でも利用しやすいメタバースを整える必要があります。メタバース×自治体-まとめさまざまな活用がされているメタバースですが、自治体の地方創生の手助けとなっています。既にメタバースを活用している自治体も多く、導入している自治体では良い結果を出している自治体が多いと言えます。教育や利用ハードルなどの課題はまだまだありますが、適切に活用することで地方自治体が抱えている課題の解決に繋がるでしょう。