いまツイッター上では「トラベルルール」に関する話題の議論が、暗号資産界隈の著名な人の間で繰り広げられています。身近な国内の有名な方だと、SOUさん、Gukoさん、shingenさん、越前さんなどが反応しています。%3Cblockquote%20class%3D%22twitter-tweet%22%3E%3Cp%20lang%3D%22ja%22%20dir%3D%22ltr%22%3E%3C%2Fp%3E%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Ftwitter.com%2FSOU_BTC%2Fstatus%2F1659027885267771394%22%3E%3C%2Fa%3E%3C%2Fblockquote%3E%20%3Cscript%20async%20src%3D%22https%3A%2F%2Fplatform.twitter.com%2Fwidgets.js%22%20charset%3D%22utf-8%22%3E%3C%2Fscript%3E一方で国内のトレーダーでも利用者の多いOKXやbybitなどの海外大手取引所に送金できなくなるのではという不安をツイートしている方が多くいるので、今回は上記を踏まえた上でトラベルルールによって取引所間の送金がどう変わるのか解説します。トラベルルールとはなにかトラベルルールで変わる取引所間送金トラベルルールで海外取引所に送金できなくなるのかこの記事を読むことで上記の3つのポイントを知ることができます。トラベルルールとはトラベルルールとは、FATF(金融活動作業部会)が提言しているマネーロンダリングおよびテロ資金へのお金の流れを防ぐために作られた国際的なルールです。いままでは電子的なお金の移動を伴う電信送金(為替取引)に対して広く適応されていましたが、近年の暗号資産の普及を考慮し暗号資産の移転にも適応すべきとの意見から、暗号資産を扱う事業者向けにも同ルールが適応されるようになりました。「travel」と聞くと旅行をイメージしますが、英語の意味での価値の「移転」や「移動」から来ています。ブロックチェーンおよび暗号資産の普及や進歩が日々進む中、ルールメイクが十分に行われていなかった背景から近年このような流れが加速しています。その中でもFATFはマネーローンダリング防止対策(AML)およびテロ資金供与防止対策(CFT)の観点から国際基準を提言する立場として力を強めています。トラベルルールができた背景などの詳しい解説は下記リンクからご覧いただけます。この記事も読む: 取引所のトラベルルールとは?今後どうなるのか、わかりやすく解説仮想通貨の海外送金は禁止されるの?トラベルルールは決して仮想通貨(暗号資産)の送金をすべて規制しようとしているものではありません。詐欺を始めとする犯罪資金の出口、要するに換金して出金するときの手段ととして利用されるのが「取引所」なので、取引所経由での犯罪資金の出金を未然に防ごうというFAFTの策の一つです。なのできちんとしたルールに則って利用する分には問題なく、出金や入金が急に停止したり禁止されることは現時点ではなさそうです(でも利用者目線で負担は大きくなります泣)。この記事も読む: トラベルルールのデメリットは?回避するにはどうすればいいのかトラベルルールで変わる取引所間送金トラベルルールは先程説明したように、暗号資産の「移転」や「移動」に伴うルールです。なので、いちばんトラベルルールによって変わるのはいま現状の暗号資産の送金で必要な情報の追加や大まかなフローです。取引所への情報共有国内の暗号資産取引所から暗号資産を出庫するときに、取引所に出庫に係るいくつかの情報を開示する必要が生じています。具体的には下記のような情報です。送付人の氏名送付人の住居or顧客識別番号等送付人のブロックチェーンアドレスor当該アドレスを特定できる番号受取人の氏名受取人のブロックチェーンアドレスor当該アドレスを特定できる番号この記事も読む: 取引所のトラベルルールとは?今後どうなるのか、わかりやすく解説新しいシステム導入従来は国内の取引所間で先述した情報のやり取りを行っていただけですが、今回はFATFの要請によりグローバルな送金にも対応する必要が生じました。そのためグローバル市場でトラベルルールの適応に必要な情報をやりとりするためのシステム導入が進められています。現在導入が進められているシステムは、米拠点のCoinbaseが開発した「TRUST」と台湾拠点のCoolBitXが開発した「SYGNA」です。しかしこの2つのシステムに分断されたことにより、とある弊害が発生しました。異なるシステムなのでもちろん情報のやり取りにも異なる規格を利用していることから、一方のシステムを採用している取引所から他方のシステムを導入している取引所への送付ができなくなってしまいました。この記事も読む: 新しいトラベルルールのTRUSTとSYGNAとは?私たちに与える3つの影響トラベルルールで海外取引所に送金できなくなるのかみなさんがいちばん気になるのはズバリここでしょう。トラベルルールが施工されることで海外取引所に送金できなくなってしまうのではないかという点です。結論から言うと下記の3つを順番に確認する必要があります。送り先の取引所の本拠住所がトラベルルールの通知対象国に該当するかどうか送り先の取引所が導入するシステムの確認送り元の取引所の公式発表を確認通知対象国に該当するか調べるまずトラベルルールはFATFが主導して行っているということに由来し、効力を発揮する国と発揮しない国に分かれています。効力を発揮しトラベルルールに準拠し、該当事業者への通知を行う必要のある国を「通知対象国」と呼び、それに含まれない国を「非通知対象国」や「通知非対象国」などと呼ばれています。今回はその通知対象国に該当しているかをまずは確認するところから入りましょう。定められている通知対象国は下記のとおりです。アメリカ合衆国、 アルバニア、 イスラエル、 カナダ、 ケイマン諸島、 ジブラルタル、 シンガポール、スイス、 セルビア、 大韓民国、 ドイツ、 バハマ、 バミューダ諸島、 フィリピン、 ベネズエラ、 香港、マレーシア、 モーリシャス、 リヒテンシュタイン、 ルクセンブルク(参考資料: 金融庁)仮に上記のリストに送り先の取引所の本拠住所が含まれていない場合は、次のステップをスキップして最後の確認に入りましょう。導入しているシステムを調べる送付先の取引所の本拠住所が通知対象国に含まれている場合は、送り元と送り先のそれぞれの取引所で導入されているシステムを調べましょう。ここで重要になるのは「同じシステムが双方の取引所に導入されている」かどうか。ここが異なる場合は基本的に送金を行うことはできません。各システムの導入企業は下の記事で詳しく説明しリストを記載しています。この記事も読む: 新しいトラベルルールのTRUSTとSYGNAとは?私たちに与える3つの影響送り元の取引所の発表を調べる仮に上記のステップをクリアしたとしても取引所独自の判断でリスク評価を行い、海外拠点の暗号資産取扱事業者への送金を禁止しているケースがあります。例えばGMOコインの場合、トラベルルールの告知を発表した際に下記を注意事項として挙げています。金融庁が指定する国・地域に属する外国暗号資産交換業者宛には、当社と採用するトラベルルール対応ソリューションが一致する場合であっても暗号資産を送付いただけません。法律等で定められた通知事項を相互に通知できる体制が整備できた場合に、暗号資産を送付いただけるようになります。このように現時点では国外の暗号資産取引所への送付は不可能です。取引所によって体制は全く異なるので予め確認の上、送付の実行を行うようにしましょう。OKXとbybitには送付できるのかさいごに本題のOKXやbybitに国内取引所から出金可能なのかという点ですが、先程のチェック項目に当てはめて順番に確認してみましょう。OKXへの出金OKXはセーシェルに拠点を置いていることから通知対象国には該当しません。よって送付元取引所が通知非対象国への送付を許可している場合出庫可能です。bybitへの出金bybitはシンガポールに拠点を置いていることから通知対象国に該当します。よってトラベルルールの導入システムを確認する必要がありますがいずれも現状は導入していません。よって送付元の取引所の独自の判断に関係なく出庫はできません。【2023/5/30 17時更新】bybitは現在本拠をシンガポールからUAE(アラブ首長国連邦)に移していることがわかりました。よって通知対象国に該当しないことから、送付元取引所が通知非対象国への送付を許可している場合出庫可能です。【2023/5/31 0時更新】またbybitはUAEの他にカザフスタンで予備ライセンスの取得を完了したと同年5月29日に発表しました。同地域では2018年より中央アジアを含む地域の主要な国際金融センターを目標に立ち上がったアスタナ国際金融センター(AIFC)が監督し、ライセンスの発行を行っています。%3Cblockquote%20class%3D%22twitter-tweet%22%3E%3Cp%20lang%3D%22ja%22%20dir%3D%22ltr%22%3E%3C%2Fp%3E%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Ftwitter.com%2FBybitJP%2Fstatus%2F1508632155357732866%22%3E%3C%2Fa%3E%3C%2Fblockquote%3E%20%3Cscript%20async%20src%3D%22https%3A%2F%2Fplatform.twitter.com%2Fwidgets.js%22%20charset%3D%22utf-8%22%3E%3C%2Fscript%3Eまとめこの記事ではトラベルルールに関して以下の内容を解説しました。最後に一緒におさらいをしましょう。トラベルルールとは取引所から暗号資産を移動するときの国際的なルールで、暗号資産のやり取り自体が禁止されるものではない送付できる取引所がどうかを確認するためには「通知対象国かどうか」「導入システム」「送り元の取引所の発表」の3つを確認する必要があるOKXやbybitには現状問題なく出金可能