今年に入って特に話題になっている「トラベルルール」に関する情報と実際の規制ですが、私たちの暗号資産取引にどのような影響があるのでしょうか?トラベルルールとはなにかトラベルルールで特定の取引所間の送金が困難にトラベルルールで変わることこの記事を読むことで上記の3つのポイントを知ることができます。トラベルルールとはトラベルルールとは、FATF(金融活動作業部会)が提言しているマネーロンダリングおよびテロ資金へのお金の流れを防ぐために作られた国際的なルールです。いままでは電子的なお金の移動を伴う電信送金(為替取引)に対して広く適応されていましたが、近年の暗号資産の普及を考慮し暗号資産の移転にも適応すべきとの意見から、暗号資産を扱う事業者向けにも同ルールが適応されるようになりました。「travel」と聞くと旅行をイメージしますが、英語の意味での価値の「移転」や「移動」から来ています。この記事も読む: 取引所のトラベルルールとは?今後どうなるのか、わかりやすく解説トラベルルールで取引所間の送金に変化新しく導入が進んでいるトラベルルールでのいちばんの影響は「出金先の制限」です。タイトルでも触れている通り、取引所間の送金に大きな制限が課されることになります。暗号資産の移動をあまり移動しない人ならあまり関係ないですが、国内と海外の暗号資産取引所を頻繁に移動してる方は、新たなトラベルルールを知っておくべきです。割れる導入システム今回の制限は主に各社で導入が進んでいるトラベルルールのシステムの違いによって起こっています。それぞれのシステムを一つずつ見ていきましょう。CoinbaseのTRUSTを導入Coinabse、Binance US、krakenなどの大手暗号資産取引所を始めとし、Circle、Paxos、Paypalといった企業でも導入が進んでいる「TRUST」というトラベルルールのシステムは、アメリカに拠点を置くCoinbaseが開発を行っています。TRUSTとは「Travel Rule Universal Solution Technology」の略で、グローバル市場で安全に顧客のプライバシーを守りながら、トラベルルールに準拠した情報のやり取りを提供する仕組みです。TRUSTについては下の記事でも詳しく説明しています。この記事も読む: 取引所のトラベルルールとは?今後どうなるのか、わかりやすく解説CoolBitXのSYGNAを導入トレーダーに支持の高い中華系取引所のMEXC Globalや、Huobiの日本法人のHuobi Japan、国内大手のSBI VC Trade、DMM Bitcoin、Rakuten Walletといった企業で導入が進んでいる「SYGNA」というトラベルルールのシステムは、台湾に拠点を置くCoolBitXが開発を行っています。SYGNAとは暗号資産関連事業者(VASP)向けにグローバルなコンプライアンスに関するシステムを提供するサービスです。その中の「Bridge」というサービスが、今回のトラベルルールに適応するために作成されました。SYGNAについては下の記事でも詳しく説明しています。この記事も読む: 新しいトラベルルールのTRUSTとSYGNAとは?私たちに与える3つの影響異なるシステム間での送受信が不可能にでは結論として我々にどんな影響があるかというと、上記の「TRUST」と「SYGNA」を採用している一方から他方への暗号資産での送金が一切できなくなると言うことです。下記が現在それぞれのシステム導入を発表している事業者です。TRUSTSYGNAbitFlyer, Coincheckbitbank, DMM Bitcoin, Huobi Japan, Rakuten Wallet, SBI VC Trade, BTCBOX, GMO Coin, Tokyo Hash, CoinBestこう見るとSYGNAを採用する事業者の方が多いように感じますが、取引量がトップの国内最大手のbitFlyerとCoincheckの2社がTRUSTを採用していることから、もしかしたらシステムごとでみた利用者に大差はないかもしれません。ここでいう送受信が不可になる組み合わせは「TRUST対TRUST」と「SYGNA対SYGNA」以外のすべての組み合わせです。送付「可能」な組み合わせ例送付「不可能」な組み合わせ例TRUST間の送付→ bitFlyerからCoincheckTRUSTからSYGNASYGNAからTRUST→ CoincheckからDMM BitcoinSYGNA間の送付→ Huobi JapanからbitbankTRUSTもしくはSYGNAからいずれも未採用の通知対象国事業者→ GMO CoinからZaif上記のように複数の暗号資産取引所を使っているユーザーには大きな影響を与えることになりそうです。また適応開始時期をどの事業者も2023年5月1日現時点で同年5~6月頃と濁していることにより、急な適応開始発表が今後ある可能性があります。この記事も読む: 取引所のトラベルルールとは?今後どうなるのか、わかりやすく解説トラベルルールで変わること新たなトラベルルールが適応されてから変わることは大きく以下のような部分です。事業者間の送金制限先程も触れたようにそれぞれのシステムを採用する事業者間の送金は制限されます。異なるシステムを採用する予定の事業者間の送金を計画している方は、新しいトラベルルールが適応される前に送金を済ませておくことをおすすめします。非通知対象国への送付に時間がかかるこれは新しいトラベルルールに限った話ではありませんが、現行のトラベルルール適応時からSNS等では不満が多く出ているポイントです。トラベルルールが適応されるのは通知対象国に含まれる事業者のみで新しい方も変わりないですが、通知対象国に含まれていない事業者やアンホステッドウォレット(メタマスクのようなセルフカストディウォレット)への出金のリスク判断は出金を行う各事業者の判断に委ねられています。よって自身のウォレットや通知対象国に含まれないBinanceやOKXなどの大手暗号資産取引所への送付を試みた際に要す時間が以前より多くなってしまう可能性があるということです。ルールなので仕方ないですが、DeFiや海外の取引所を多く利用しているユーザーからしてみるといい迷惑ですよね。まとめこの記事ではトラベルルールに関して以下の内容を解説しました。最後に一緒におさらいをしましょう。トラベルルールとは取引所から暗号資産を移動するときの国際的なルール特定の取引所間では暗号資産のやり取りが以前より難しくなるメタマスクなどのウォレットに送金するときに時間がかかる場合がある振り返りとして、今後もたくさんの情報とともに規制が進むものと考えられます。当メディアでも情報の更新を適宜行っていきますが、最新で正しい情報を自分たちの使っている取引所から得るというスキルも重要になってきます。我々のようなメディアをうまく活かしつつ、情報の精査をきちんと行ってよりいいクリプトがある生活を送っていただけると嬉しく思います。