2021年、GAFA(Google,Amazon,Facebook,Apple)の一角であるFacebookが社名を「Meta」に変更すると発表して世界的なバズワードになったメタバース。しかしネットではSecond Lifeの失敗やMetaの業績不振から「メタバースは失敗する・オワコンだ」などメタバースに対して批判的な声も多く見受けられます。そこでこの記事ではメタバースがなぜ失敗すると言われているのか、そしてメタバースの可能性について解説したいと思います。メタバースが失敗すると言われている理由【失敗例を基に解説】メタバースが失敗すると言われている理由は以下の3つです。Second Lifeの失敗大手企業の撤退メタバースに関するマイナスな報道Second Lifeの失敗2003年に世界初のメタバース空間としてアメリカのLinden Lab社が発表した「Second Life」は当時世界中で大ムーブを巻き起こし、2007年ごろにはユーザー数が100万人を突破しました。Second Lifeでは仮想空間の中でユーザー同士がコミュニケーションを取れるだけでなく、仮想空間の中で稼いだ通貨を米国ドルと換金することができ、当時革新的なサービスとして注目を浴びました。ですがその後、通信速度やコンピュータのスペックなどの問題でユーザー数は激減し、衰退しました。しかし、通信速度やスマホなどのハードウェアのスペックが発展した現代ではメタバース市場においてSecond Lifeのような問題は起こりにくいと考えられます。大手企業の撤退メタバース市場に参入した大手企業が、事業撤退していることも理由の1つです。例えば、2023年1月にMicrosoft社は2022年10月に同社が立ち上げた産業用メタバースのプロジェクトを人員削減やAIへの投資の増額に伴う資金面からこのプロジェクトを廃止しました。参考:forbesjapanさらには、2023年3月にはウォルトディズニーが経営状況の悪化や、ストリーミング競争の激化が元となる、およそ7000人のレイオフの一環としてメタバース事業部門を解体したと発表しました。参考:Yahoo!ニュースただ、以下の記事でまとめているように、大企業が続々と参入し始めています。ビジネスモデルを探したい方はあわせてお読みください。メタバースに参入している企業を紹介【国内・海外14選】メタバースに関するマイナスな報道メタバースがバズワードになるきっかけを作ったMeta社ですが、メタバースへの参入を発表した後、同社の株価の低迷や経営不振などでマイナスな報道が続いています。メタバースを牽引すると考えられていたMeta社にマイナスイメージが生まれ、それによりメタバース自体が失敗したと考える人も存在するようです。また、メタバースのプラットフォームでは偽の商品が取引されていたり、プラットフォーム上での詐欺事件が発生したりしていると報じられ、プラットフォーム上での個人情報漏洩も問題となっています。これらの問題は、メタバースの安全性や信頼性に対する懸念を引き起こしており、一部ではメタバースが失敗したとの見方もあるようです。さらに、メタバースが引き起こす精神的な影響も叫ばれています。例えばStatistaのまとめによると、メタバースに関しての懸念トップ3は、1位バーチャル世界中毒(47%)、2位プライバシー問題(41%)、メンタルヘルス問題(41%)がランクインしています。このようにメタバース中毒やメンタルヘルスなど、精神的な問題もマイナス要因として挙がっているのです。メタバースは失敗する?専門家の視点から解説!メタバースが失敗すると判断するにはまだ早いと言える根拠は以下の3つです。メタバースという概念がまだ始まったばかり多くの企業が参入している市場規模の拡大が予想されているメタバースという概念がまだ始まったばかりメタバースは近年始まった産業であるため、まだ失敗したかどうか判断するには早過ぎます。テクノロジーの進歩によって、現在のメタバースの形態や利用方法は変わるので、将来性に期待できる可能性は0ではありません。ただ、メタバース市場はテクノロジーの発展速度が速く、一定の水準まで到達しないと消費者の理解が追いつかないでしょう。そのため、メタバースが多くの消費者に利用されるにはまだ時間がかかると考えられます。多くの企業が参入しているメタバースが失敗するという批判の根拠として、撤退している企業の例を挙げましたが、実はそれ以上にメタバース市場に参入している企業が多いのが実情です。メタバース市場に参入している大企業は以下の通りです。NIKEソニーミュージック博報堂大和ハウス上記の企業の他にも国内外問わず多くの企業が参入しているため、メタバース市場への関心の高さを伺うことができ、将来的にメタバース市場への投資が増えると予想されます。市場規模が拡大が予測されているメタバース市場はいくつかの市場規模予測で拡大すると予測されています。総務省78兆8,705億マッキンゼー650兆円三菱総研24兆円総務省の「令和4年通信情報白書」によると、メタバースの市場規模は2021年は4兆2,640億円でしたが、2030年には78兆8,705億円まで拡大すると予想されています。また、Mckinsey&Companyは650兆円、三菱総研は24兆円程度になると予測しています。このように総務省や各社は、メタバース市場がブロックチェーン技術やAIと発展しながら、Web3.0時代のデジタル経済圏を力強く拡大していく起爆剤と考えています。メタバースがオワコンになるシナリオはあるのか? メタバースには将来性がある一方、オワコンになるシナリオも考えられます。メタバースがオワコンになるシナリオとしては次のような可能性が挙げられます。VRデバイスが普及せず、大衆がメタバースを体験しないメタバースのプラットフォーム内でのコンテンツが不足して盛り上がらないアバターを介した人とのコミュニケーションが取りにくく、メタバースの世界に入るインセンティブが低下するメタバースが複雑化し、大衆のITリテラシーが追いつかないVRデバイスが普及せず、大衆がメタバースを体験しないメタバースの世界に没頭するためにはVRゴーグルなどのデバイスが必要ですが、現在のVRゴーグルはその価格の高さや重量感から、スマホのように誰もが持っているデバイスとはなっていません。VRゴーグルが誰もが手の出しやすい価格になり、軽量化しなければメタバースは大衆に普及することはなくなってしまうかもしれません。 メタバースのプラットフォーム内でのコンテンツが不足し盛り上がらない現在、メタバースのプラットフォーム内での人気コンテンツはゲームであることが多いです。そのため、メタバースの利用者層もゲーム好きな若者が多く、幅広い年齢層に利用されていないことが現状です。よってメタバースが普及するには幅広い年齢層にリーチする必要があります。そのためには、スマホのアプリで例えるとLINEのようなマスが利用しやすいコンテンツやサービスを開発する必要があり、現在のようにコンテンツに偏りがあると大衆に受け入れられにくくなる可能性があります。アバターを介した人とのコミュニケーションが取りにくく、メタバースの世界に入るインセンティブが低下するメタバースの世界では自分自身の化身である様々なアバターを介して、他の利用者とコミュニケーションをとります。メタバースが普及するためには大衆がこれに慣れる必要があり、アバターを介したミュニケーションが不自然であると感じると多くの人がメタバースの世界に没入することが難しくなってしまいます。メタバースが複雑化し、大衆のITリテラシーが追いつかない現在メタバース内のアセットであるNFTやその他アイテムを購入するためには、1度法定通貨をメタバース上での仮想通貨に変換することが必要となる場合があります。また仮想通貨を購入し、利用するためにはウォレットを保有したり、暗号鍵の理解が必要になったりします。上記の手順はマス層がメタバースのプラットフォームを利用する際のハードルとなるでしょう。メタバースでのビジネスチャンスはある?メタバース上での仮想通貨の取引や、NFTの取引、バーチャルショップの開設などは、従来のビジネスモデルには存在しないメタバース上での新たなビジネスチャンスとなっています。また、メタバース上でのコンテンツ制作には、現実世界では実現できない創作活動が可能になるので大きなビジネスチャンスになるでしょう。さらには、メタバースのプラットフォームを自身で作成し、その中でプラットホーム手数料を徴収したり、広告枠を企業に向けて販売しマネタイズすることも可能です。メタバース事業を始めたりメタバースを活用して収益を得たりしたい方は、以下の記事でメタバースの始め方を解説しているのでまずは体験してみるとよいでしょう。関連:メタバースのやり方・始め方を簡単5ステップで解説!【気軽に体験したい方へ】まとめ:メタバースは失敗するとは言い切れないメタバースはまだ始まったばかりであり、失敗すると言い切ることはまだできないでしょう。新しいビジネスモデルの出現や政府の支援など、さまざまな要因がメタバースの成長を後押ししています。今後ますます注目されるメタバースに注目し、成長を見守っていきましょう。